狩猟を始めてまだ間もない初心者の私は、罠を仕掛けてからすでに一か月が経とうとしてた。でも、一向に獲物がかかる気配はなし。「これもうアカンかもしれん」と半ば諦めつつ、二日に一回の見回りを続けてた。
この日も、「どうせ何もかかってへんやろ」と気楽な気持ちで夕方に罠を確認しに山へ。いつも通りテクテク歩いてたんやけど、罠の近くまで来た瞬間、なんか違和感。何かがある。ひぇ~。
目を凝らしてよく見たら、そこには一頭の猪がぶらさがっているやん!全然気づかんかった。まるで風景の一部みたいに同化してた。最初の感想は怖い!

でも次の瞬間、「あれ?動かん?」と疑問が湧いた。もしかして、もう死んでる?それとも、じっとしてるだけ?小さい猪なのが救い。
急に暴れ出したら怖いし、とりあえず慎重に石を拾って投げてみた。……反応なし。次に、恐る恐る棒でツンツン。……やっぱり動かん。
近づいてじっくり観察すると、猪の目玉にはすでにハエがたかってた。「あー、これはもう死んでるな」と確信。でも、念には念を入れるために軍手を外して素手で猪の体を触ってみた。そしたら、まだ温かいやん!死にたてホヤホヤや。
「もしかして、食べられるんちゃう?」そんな考えが頭をよぎる。せっかくの命を無駄にしたくない。血抜きができるか試そうと、ナイフで首を刺してみた。でも、まったく血が出てこない。どうやら時間が経ちすぎたんか、うまく抜けへんみたいや。
すぐに新人狩猟仲間に連絡して、申請用の写真を撮ることに。仲間と協力して撮影を済ませた後、いよいよ回収作業へ。
山の中で横たわる猪は想像以上に重たく、引きずるのも一苦労。汗だくになりながら、なんとか山から引きずりおろして回収完了。

血抜きはうまくいかんかったけど、猟師仲間と「せっかくやし解体してみよか!」とナイフを入れてみた。そしたら、なんで血抜きが大事なんかよう分かった。お腹の中に血が溜まってて臭いがする。なるほど、これはちゃんと処理せんと解体も食べるのがキツくなるんやな。
でも、今回の猪は小さくて臭みもマシやった。脂身はほぼなかったけど、友達と半分こして持ち帰ることに。

死んでたので内臓は捨てました。小さい猪半分でも我が家の一か月位の肉の量。(我が家は週の半分は魚なので魚率が高い)
肋骨は甘辛く味付けしてスペアリブに。これがめっちゃウマい!私の好物。骨付き肉にかぶりついたら、旨味が口いっぱいに広がる。
さらに、肉を取った後の足の骨を圧力鍋でじっくり煮込んだら、驚くほど旨味たっぷりの出汁が取れた。塩と醤油をちょっと入れたら、おでんみたいな味になって最高。

残りの肉は、一回分ずつに分けて冷凍。我が家ではジビエがある時はスーパーの肉を買わず、普通の肉料理に使ってる。脂身ない肉が好きな私にはピッタリや。
「ごちそうさまでした!」
狩猟初心者として、大きな学びがあった一日。次はもっとスムーズに処理できるように準備して挑もう。
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