春になると山菜の季節がやってくる。なかでも、畑や山のふちでよく見かけるフキ(蕗)は、茎の部分を料理に使うことが多いが、葉っぱはいつもポイっとそこらへん捨てている。
実は、今までフキの葉はほとんど捨てていた。しかし最近、「フキの葉でもめはり寿司が作れる」と知り、興味津々で試してみた。
めはり寿司とは?「目を張るほどおいしい」が語源
めはり寿司は、三重県の郷土料理。高菜漬けの葉でごはんを包んだ、見た目も香りもインパクトのあるおにぎりだ。寿司と言っても酢飯ではない。

その名前の由来は、「あまりのおいしさに目を見開いてしまう」=「目を張る」から来ていると言われている。それほどまでにインパクトがあり、豪快に頬張るスタイルが特徴的な郷土の味だ。
このめはり寿司、実は高菜の葉だけでなく、フキの葉でも代用できるという。半信半疑だったが、物は試し。いつもは畑で捨てていたフキの大きな葉を使って、自家製「フキの葉めはり寿司」にチャレンジしてみた。
フキの葉をおにぎり用に加工する手順
まずは、やわらかくて大きめのフキの葉を収穫。葉はアクが強く、そのままでは食べにくいので、下処理が必須。

- 収穫後すぐに流水で泥を落とす。
- 沸騰したお湯で1〜2分ほど下ゆでし、すぐに冷水にとって色止めする。
- 水をよく切ったら、全体に塩をふって重ねてラップに包み、一晩冷蔵庫で寝かせる。
下ゆですることでアクが抜け、えぐみが和らぎ、葉がやわらかくなって扱いやすくなる。これでおにぎりを包みやすくなり、味もぐっとよくなる。

おにぎりの中身は「鰹節ポン酢」が定番
ごはんは、やや固めに炊くのがポイント。中に入れる具材は自由だが、今回は三重の親戚がよく作ってくれる「鰹節ポン酢」スタイルで作る。

炊きたてのごはんに、たっぷりの鰹節と少量のポン酢を加えて混ぜ、手でしっかりとにぎる。これを塩漬けにしたフキの葉で丁寧に包めば、フキ版の「なんちゃって めはり寿司」が完成。

実食レポート|野性味あふれる大人の味
一口かじると、まず広がるのはフキ独特の香りとほろ苦さ。そのあとに鰹節とポン酢の旨味が追いかけてくる。フキの葉がごはんを包み込み、まるで山の恵みを丸ごと頬張っているような味わいだ。
子どもたちには少しクセが強いようで、「これ無理〜!」と拒否されてしまったが、大人にとってはやみつきになるような奥深い味。
フキの葉は冷凍保存OK|季節を越えて楽しめる山菜レシピ
塩漬けにしたフキの葉は、1枚ずつラップに包んで冷凍保存が可能。必要なときに自然解凍するだけで、いつでも山の味を楽しめる。
春の短い時期に収穫しておけば、季節を問わず食卓に山菜の風味を添えられる。お弁当、山歩きのお供にもぴったりな保存食だ。
【まとめ】フキの葉で作る、もうひとつのめはり寿司
・めはり寿司の語源は「目を張るほどおいしい」から
・フキの葉は、下ゆで→塩漬けでおにぎりに使える
・中の具はアレンジOK
・クセはあるが、大人にはたまらない深い味
・冷凍保存で通年楽しめる山菜レシピに
「なんちゃって」とは言えないほど、フキの葉で作るめはり寿司は満足感のある一品。ぜひお試しください。
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